個性豊かな糀文化
糀とは「麹」とも書き、米・麦・大豆などの穀物にコウジ菌等の有用菌を繁殖させたものをいいます。
東南アジアを含む東アジア圏に特有の発酵文化であり、日本では、日本酒・焼酎などの酒類、味噌・醤油・酢などの調味料として、広く食文化に定着し、糀による発酵食品を食べない日はないといっても過言ではないほどです。日本人が世界に誇る長寿民族なのは、発酵食品がその一助となっているといわれます。
日本の酒の発祥は諸説ありますが、縄文時代の果実酒醸造の跡とみられる遺跡や、古墳時代の酒器といわれる須恵器、日本書紀や古事記には酒の記述がみられるなど、太古の昔から酒そのものは日本に存在していました。中でも「糀」を原料にした酒が朝廷で公に製造されるようになったのは7世紀頃であり、「麹室(こうじむろ)」が作られた記録があります。その時代から脈々と各地で受け継がれ、アルコールの酒だけでなく甘酒・調味料などの形でも、個性豊かな糀文化が発展しました。